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もう大人なのに

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#03 The first step is always the hardest.(いちばん厄介なのはいつも第一歩)

コミケ81新刊 ふじょゆり 本編より二人の出会いを抜粋して一部ご紹介します。 

体育館。四方をぐるっと囲んでいるのは紅白の幕。
その手前にはいかめしい表情の教員や父兄らが並んでいる。
きちんと並べられたパイプ椅子の列。
苗字が「あ」ではじまるものだから、わたしはクラスの先頭に座っている。
今、わたしの頭を切り刻んで脳の中身を察知するコードでもつながれたら慌てるかもしれない。
その日のわたしにとってのリアルが何かといえば、それはつまり…脳内妄想そのものだった。
入学式すら重要ではない。
何しろ『はまった』翌日だ。
脳内パラダイス状態、というやつ。
ビッグバン直後で銀河星雲が無数に渦巻いている。
それにしても、ああ、眠いこと。眠いこと。
せっかくかわいい制服の学校に入学したのに、我ながら台無しの気持ちだ。
開式の言葉。学校歌の吹奏。

校長の挨拶がはじまった。
もう既に深い眠りはファーストフェイズを終えてセカンドフェイズへと移行しつつあった。
レム睡眠、浅い眠りだ。
うっすらと感覚だけは目覚めていたけど、意識は、ほとんど眠りの向こうへと引き込まれていた。

わたしをよそに、式は進行する。学園代表が呼ばれた…そのときだ。

わたしはふっと現実に引き戻された。
もじもじと背後で支度する気配があったからだ。
わたしの後ろの子が、はいとかわいく返事した。
それから席を離れた。さすがに驚いた。
目をぱちぱちさせて、首をめぐらす。
脇の通路を通りがかる姿を思わず視線で追う。
ショートカットの凛々しい少女だった。
けしてボーイッシュというのではない。
その短い髪がかえって少女性を引き立てている。
なだらかな頬。清らかな項。その姿が意識に入ってきた。
緊張した面持ちで彼女は壇上にのぼる。
冴え冴えと、けれどもずいぶんかわいい声で、学年総代の挨拶を述べはじめた。

[chapter:#03 The first step is always the hardest.(いちばん厄介なのはいつも第一歩) より抜粋]

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