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もう大人なのに

カバー製作中です。

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こちらは新刊のカバーイラストのイメージ画像です。
まだ微調整が入るので、ちょっと変るかもしれませんが…!
超かわいいイラストを友人が描いてくださいました…!!
かわいい! かわいいです。

向かって左のこが 腐女子 有海ゆうさん。
向かって右のこが 普通の女の子(だった)草田そらさん。
本編はこの腐女子二人の百合物語…つまり…「ふじょゆり」です。
改めまして、よろしくお願いします。

これからカバー巻きする予定なのですが間に合うよう頑張ります。
巻き巻き作業が楽しいです。
主人公二人のイラストを描いてくだすった絵師の室井様のpixivはこちらです。
http://www.pixiv.net/member.php?id=141775

室井さんありがとう、そしてありがとう…!

本編の第二章をプレ更新します。
第一章は有海ゆうの一人称。
第二章は草田そらの一人称。
それぞれの視点を交互に切り替えながら綴る物語です。
第一章は別記事に掲載済みです。

第二章

All happiness is in the mind.

(すべての幸福は心の中にある)

クリックして読めます。

 


 





 

早生まれって損してる。一年近くも年の離れた子が、学齢という括りによって同じひとつの教室に放り込まれる。そこでは運動が出来ることが大きな差異に見える。あの殺風景な荒野みたいなグラウンドを早く走れること。かまぼこみたいな空間に積まれた跳び箱を高く飛べること。つめたくて重い感触の鉄の棒で何度も回転できること。小学校まではそうだった。中学校でも、少し、そう。

けれど、高校ではどうだろう?

大人からは見えないプレゼントしか神様から渡されなかったこは、それを大切に大切に抱えていなくちゃならない。同じ組のこ、近くに住んでいるこたちに、奪われて蹴られて泣かされないように。

わたし、草田そらは体が小さくて早生まれのためか、クラスではいつまでも年下みたいに扱われてきた。一方で、小さいときから、家のなかで、お父さんやお母さんに幼い弟妹の世話を求められて喜田。野放図に子供をつくりまくって、世話は長女のわたしに押し付けた。

当然、弟妹の好きなアニメや食玩に詳しくなった。けれども、それらはひとつもわたしのものじゃなかった。ぬいぐるみがほしかった。お人形がほしかった。弟が夢中になるヒーローアニメがすきだった。妹が真似したがる魔法少女の物語に憧れていた。けれども、お姉さんだから、率先して何かに熱中する素振りは見せられない。それらのおもちゃを手に入れるときも、いつでも弟や妹を優先。

例えばクリスマス。妹がぬいぐるみをほしがるときに、わたしはリボンチャームがほしいとねだった。例えば誕生日。弟が超合金をほしがっても、女の子だから興味ないふりをした。

わたしがお手本でなければ。

エラー要素がないかどうか、親がわたしたちを見定めるためのリトマス試験紙。それがわたしなんだ。弟や妹がおかしなことしても、わたしの影響と言われないために、いろんなものを堪えてきた。弟や妹にばかにされるのも怖かった。

そして、それは、とても疲れることだった。だから、お小遣いで、自分だけの漫画を買うようになった。弟や妹にみつかると、たちまち『貸して貸して』攻撃におそわれてぐちゃぐちゃにされてしまう。

クラスメイトにも教えられない。知られたら、わたしはやっぱりお子様だってみなされてしまうから。だから、家族にも友達にも漫画を読むことを内緒にしている。それだけは秘密の花園だ。

それは主として少年漫画だ。本棚の表には一面の教科書と参考書。弟妹が興味を示さないそれらを抜き取ると、奥にはぎっしりとの有名なタイトルが一巻から欠かされず几帳面に揃っている。なぜかというと、興奮するのだ。

バトルヒーローものに!

努力友情勝利! の世界。これこそがわたしの憧れ、目指す理想の世界だ。弟妹の世話に追われる日々において、彼らの爽快さは限りなく頼もしく目に映える。

死神がいたら。海賊がいたら。忍者がいたら。颯爽とピンチに駆けつけて苦境から救い出してくれる。憧れないはずがなかった。

 

ヒーローがいたら! 

 

けれど、最近、ちょっとした変化が生じている。それというのは不思議な縁だ。ある書店で、それまでに見たことのないイラストの面白そうな漫画を買ってしまった。

『タイニー&ハニー 公式アンソロジー』と銘打たれた漫画本だ。書店で見つけたとき、表紙に見とれてしまった。

いつも買っている漫画の主人公は少年ばかり。それでも充分トキメキを感じられる。けれども、表紙を見る限り、その漫画の主人公は年をとったおじさんだ。恐らく青年漫画だろう。いつも購入する少年漫画とサイズが違う。値段も倍以上する。大学生からサラリーマンくらいの年齢の人たちが読む、週刊誌や月刊誌で連載している、アクション系の漫画。そんなイメージを抱いた。

とにかく表紙がカッコいい。キラキラした装丁で、表紙の色使いもヴィヴィッドで…まるでアイドルのファンブックや写真集だ。書店の売り場で散々迷った。入学祝のおかげでお財布はいつもよりも膨らんでいる。気持ちも昂揚していた。

もう高校生になるし、少年ばかりが活躍する漫画から卒業して、大人のヒーローに夢をみてみたい。気づいたら、その本を購入していた。帰宅してそっとページを開いて読みはじめてから呆然としてしまった。

思いも寄らない内容だったのだ。

まず、この漫画の世界は単体で成立していないことが伺えた。アニメを基盤として描かれた漫画であるようなのだ。

加えて、漫画家がひとりに定まっていない。漫画そのものも、きちんとしたストーリーで長々と描かれているのだと思っていたら、まったく違っていた。

いろんな漫画家が、四コマや短編など、それぞれに好きなようにそのアニメを基盤とした世界を描いている。コメディやシリアスまで様々な味付けだ。更に、そこにはわたしが知らない味付けがもうひとつ広がっていた。

これらの漫画の元となっているアニメ『タイニー&ハニー』は、主人公二人が敵を倒していく特撮モノのような話だと伺える。主役の一人は調子のいい中年男性。もう片方はクールな青年。彼らが能力を生かしてバトルスーツを身に纏い戦っていく筋書き。そこまではわかる。主人公二人は男同士だ。なのに、まるで恋仲のように描かれている。妙にいちゃいちゃしている。そう、まるでホモ・セクシュアルのような…

わたしはそれらの表現に対して今までに感じたことのない感覚にとらわれた。何だろう? どう考えてもわたしの知らない世界なのに、胸がざわめいてドキドキする。一言であらわせば、感想はこう。

 

わたしの知っているヒーローものと違う!

 

胸に、ありとあらゆる疑問が浮かびはじめた。いったい、これって何だろう?

まず、この書籍そのものの形態がよくわからない。どうしてこんなにたくさんの人が集められているのか。もともとのアニメの内容も気になる。何より、この主人公であるキャラクター二人の関係性は? どうして、こんなにこの二人は仲がいいのだろう?

一番わからないのはわたし自身だ。

その本をどう扱っていいのかわからないままに、ときめきはじめていた。そのときめきは、今まで少年漫画の主役に感じたときめきとは明らかに違っていた。この漫画は、ほかの漫画に比べて、輪をかけて弟妹に知られてはならないものである気がした。

 

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